風の冷たい午後、滅多に載らないバスを待っていた時。
一人のおばあちゃんが、時刻表を上手く読めないようだったので、声をかけてみました。
そこから、おばあちゃんのお話が止まらない。
「昨日、主人が免許を返したの。今日はバスに乗る練習をしようと思ってね」
「本当に寂しい。40年以上、毎日のように乗っていたの。もう車は無いんだからね、寂しいもんだね」
「簡単に行っていたスーパーにも、バスを乗り継いでいかないといけない。遠くなるね」
「昨日、リュックサックを買ったよ。肩が痛いけど、荷物を自分で運ばないとね」
車を手放した寂しさと、今後の生活への不安が、伝わってくる。
「でもね、いつどこで、こちらの運転で人を傷つけるか分からないから」
「そうならないように、その前に免許を返そうかって、2人で話し合って。それで返したのがちょうど昨日だったのよ」
誰かに説得されたわけでもなく、自分たちで選択された様子。
大きな決断だったろうなぁ。
おばあちゃんの顔は、どこか晴れ晴れとしていた。
バスが到着。
「あ、やーっと来たねぇ。ありがとね」
おばあちゃんは、笑顔で乗り込んでいった。
お二人の新しい生活が、どうか優しくて穏やかなものでありますように・・・
と、願わずにはいられませんでした。
2020年が、皆さまにとって良き一年となりますように☆彡
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